そこから先には行かないわけ
息子と話していると、奴は得意のいきなり質問攻撃をしてきた。
「おとうとおかあはセックスするの?」
「あたりまえじゃ」
「ひええええええ」(←驚き方がふるい・・・)
「じゃあさあ、ボカボカ子供できちゃうよ?」
「子供を作らなくても、セックスはできる」
「ひえええええ」
「避妊といいます」
「じゃあさ、何のためにセックスするの?」
「仲良しだしさ。きもちがいいからすきーって言う人もいる」
「僕はしていいの?」
「駄目」
「なんで?」
聞かれて、はた、と困った。理由はいろいろある。避妊の仕方を知らないだろう、性病についての知識がないだろう、まだ体が十分にできていないだろう。でも、頭にぱっと浮かんだのはそういう機能的な理由だけ。
でも、いけないような気がする。
「うーん・・・ちょっと考えてもええか?」
といっていると、だんながやって来た。
「おとう、おかあとセックスしてるんでしょ?」
「うん!」
「なんで僕はいけないの?」
「そら、君は興味だけでしたいんでしょ。ということは、ジョーンのことを単なるものとして扱うからだよ。それは相手を人間以下にするし、自分も人間以下になるんだよ。だから、本当に相手が好きだと思って、相手のことを本当に考えられるようになって、はじめてセックスをするべきだよ。興味と快楽のためだけにしてはいけない」
はー、なるへそー。が、やはり、息子には説明が難しすぎ(笑)。
「えーとな。オカメがおるやろ」
またしても、オカメ登場。
「オカメのことが好きやから、抱っこしたいし、遊びたいし、なでてやりたいやろ」
「うん」
「そやけど、そうしたらどうなるんやろってめちゃくちゃ興味があっても、オカメの尻尾に火はつけへんやろ」
「ぜったいに、しないよ」
「うん。それしたらオカメがかわいそうやん」
「うん」
「それだけやなくて、おかあがオカメにいろいろするやろ」
「うん。肩に乗せたり、投げたりしてるよね」
「うん。それはな、おかあとオカメが仲がええからやん。おかあはオカメが好きやし、オカメはおかあが好きで信頼してるさかい、いろいろできんねん。そんで、それだけの関係を作るのはかなり時間がかかるねん」
「うん」
「そやからな、ジョーンを好きなんはわかるけど、君らはまだまだお互いをよくしらんやろ。これから、ゆっくり付き合って、ジョーンがほかの誰でもないたった一人の人や、って思えるようになるねん.
それで、お互いに、この人やったら自分を大事にしてくれるって思えてくるかもしれん」
「うん・・・」
「そうなったら、そのときに自然にわかってくるよ」
「うん・・・。思えなかったら?」
「思ってないのにするんやったら、それは、おとうが言ったように、ジョーンの体を利用してるだけやろ。どうなるかなーって興味があるから、いろいろ実験するやん。それとかわらへんやろ」
「うん」
「実験ではものを使うやろ。それと同じように、ジョーンをものとして扱ってることにならへんか」
「うん・・・わかった・・・」
そして、息子は、おもむろにオカメを見ていった。
「僕はさ、オカメが好きだけど、オカメにいろいろできないでしょ。ということは、オカメは僕を信頼してないんだね・・・。こんなにかわいがってあげてるのにー!
オカメなんて
だいきらい!」
そう叫ぶと、息子は台所から走り去って行きました。
ほほほ・・・。男女交際はうまくいっているようだが、オカメにはわたしのほうがもてるのさ。切ない片思いの味が分かったか。けけけ・・・。
ちょっと、いい気味(笑)。