しんみりと離婚を語る | せきらら性教育

しんみりと離婚を語る

「おかあ、離婚する?」

またしても、息子のいきなり攻撃。おかあはネギをきざんでるんやけど・・・。

「はあ?」
「おとうと離婚する?」
「何でやねん?」
「友達の***の親が離婚するんだって」

その子はとってもええ子で、やさしいし、おかしいし、結構まぬけで、わたしのお気に入りの一人やった。ご両親のことも両方とも結構よく知ってた。そら、人間やから完璧ではないけど、教育熱心なええ両親やなあ(わしにはあそこまではできん。負けじゃあ)って思ってた。

「そうか、それは難しいなあ」

あのな、無責任な人間もいてるけど、ほとんどの人は子供に対してきちんとしてあげようって思ってるんや。それで、どんな親でも、離婚ゆうのが子供にとってはものすごいショックやって知ってるんや。

「じゃあ、何でするの?」
「それは難しいなあ」

それはなあ、人によってちょっとずつ事情がちゃうさかい、何でするって聞かれても、よう答えん。そやけど、離婚はな、するのは大変なんや。ちょっとしますわ、ってできるわけやない。考えて考えて、子供のことも考えて、それでも離婚するしかないからするんや。

「ええか、ようお聞き。何で離婚せなあかんのかはその二人にしか分からん部分がほとんどや。それをな、外から見て、いろいろいうやつもいてる。そういう噂は信じたらあかん。そういう噂に参加するのもあかん。そういう噂で、あいつはどうじゃとか、こうじゃとか、決めるのもあかん。***ちゃんはええ子やし、親も二人ともええ人や、子供を大事に思ってはる。それは、離婚しても何してもかわらへん」
「おかあ、涙が出そう」
「切ないもんなあ」
「いや、ネギくさいんだけど・・・」

そうでした。バーソを作ろうと思って、ネギを5束刻んでる最中でした。しかし、お前、おかあの話、きいてんのか・・・全く・・・。

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付記: 離婚率は増えつつあるといわれています。たとえばニュージーランドでは、二親とも「生みの親」で構成されている家族に属する子供は5人に1人という統計も出ています。ただ、離婚率は結婚年数と全人口に対する結婚人口を念頭に入れて考えねばならないため、そう簡単には計算できないようです。また、国際結婚や、海外で離婚手続きを取る人も増えているため、たとえば「アメリカの離婚率50%」というよく言われる統計結果は信頼できるものとはいいがたいようです。それでも、2003年にイギリスでスーパーマーケット・チェーンのテスコが「簡単に安く離婚できる法律パック(弁護士代が少しで済む)」というものをネット上で発売した、というようなニュースを聞くとやはり、増えているのかも、という気もします。

しかしながら、離婚率の増加とは「家族の崩壊」ではなく、今までの「家族」という固定観念を破る新しい家族の形態ができつつある証拠、という前向きなとらえ方をしたいものです。法律などもこの新しい状況に対応して改正をされる動きが出てきているようです。

カソリック教国・イスラム教国などでは宗教上の理由で離婚が許可されていない国も多数あります。その中でイスラム教国であるイランが女性からの離婚の申請をも認めていることは、女性の権利の擁護という観点から見て特筆すべき事ではないでしょうか。