怒りながらゲイを語る | せきらら性教育

怒りながらゲイを語る

遠足の弁当をあまり考えずに赤紫の袋に入れて、息子にもたせた。息子が帰ってきた。

「おお、弁当、うまかったか?」
「・・・・」
「返事しよし」
「・・・おいしかった・・・けど・・・」
「けど、なんや」
「ピンクの袋に入ってて、ゲイだっていわれた」

プッツン。切れた。

「ゆったやつは誰じゃ!」
「みんな・・・」
「そいつらみんな、あほじゃあ!」

まず、色は、赤紫でピンクやない。ピンクを持ってたら女の子ゆうのは、下らんおもちゃを作って女の子用はピンクにしてる下らんおもちゃ会社が植えつけてる下らん固定観念じゃ。ピンクの何処が女の子かゆうてみい! ピンクは色やから、性別はないわい!

それから、何で、ゲイっちゅう言葉をそういう使い方するんや! どういう意味や、ゆうてみい!

「だから、ゲイって、なよなよしてて、いい子ちゃんで、くだらないやつって・・・」

ほんまか、ほんまにゲイはそうか? ちゃうやろ、それは、勝手に差別していっとるんやろ! Gayのほんまの意味知ってるか? 幸せ、悦びっちゅう意味じゃ。自分たちは世間に向かって、自分たちの性的傾向を隠しません、正直に言います、わたしたちは嘘をついていないからしあわせですっちゅう意味を込めて、自分たちをGay People、幸せな人って呼んだんじゃ。自分たちを差別する人間に対する抗議なんや、自分たちをゲイって呼ぶのは!

「おかあ、怒ってるの?」
「おお、怒っとる。そういう、言葉の意味も知らんで、社会的意味も知らんで、差別をするやつは許せん。今度から、そういうあほがおったら、いったれ。お前、Gayの意味、しっとんのか。辞書でケツふいてから出直して来い!!」
「辞書でお尻、ふいたら、意味を調べられないんじゃない?」

息子、冷静・・・。


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付記: Gayという言葉のもともとの意味は「悦ばしい」「きれいな色の」というような意味でした。たとえば、ニーチェの「悦ばしい知識」という本は「Gay Science」という英語のタイトルに訳されています。ただ、現在では、こちらのほうの意味では使わず、Gayと英語で言った場合、ホモセクシュアルの人を意味します。

付記2: Honey Bumさんからの指摘がありましたので、文中、誤解を招きそうな部分に説明をたしたいと思います。

ゲイが女性的であるという一般的な誤解があるようです。ゲイにもさまざまなタイプの方がいて、男性的な方も知れば、確かに女性的なかたもいます。それは、ヘテロの男性に女性的な方も男性的な方もいるのと変わりません。こういったゲイへの誤解は、マスメディアにおけるゲイの描写の仕方に問題があるのではないかと思っています。そういった意味において、母親としては、息子と一緒にできるだけテレビを見たり、本を読んだりして、偏りのある表現はそのたびにしつこく怒ろうと思っています。