にわにはにわにわとりがいる:二話 | せきらら性教育

にわにはにわにわとりがいる:二話

第一羽:


子供が小さいとき、自分の頭の中でいろいろ考えて、けっこう無茶なことを言ったりしたりする。


農家から買ってきた卵に、ニワトリの小さな羽根がついているのを見て、


「あ、卵がひよこに成りかけてる!」


卵に羽が生えて、ひよこが生まれると思っていたらしい。


「これ、あっためてもいい?? ねえ、ねえ、ねえ」
「あかん。これは、ニワトリにはならへんねん。卵がひよこにはならへんの。この中にひよこの素が入ってんの」
「じゃあ、それがひよこになるんだったら、暖めてもいい?」
「うーん、黄身が入っていても、ひよこはできないんだよね・・・」


だんなが言った。


「・・・・なあ、悪いんやけど、黄身はひよこにはならへんよ。黄身はひよこが育つ栄養なんやけど…」
「・・・・・うそ」
「ほんま」


るーるーるー、僕のジンセイって・・・。

泣くだんな。


「ねえ、卵あっためてもいい?」
「だから、これはひよこにはならへんの」
「何で?」
「ヤッてないからや」
「ヤッてたらできるの?」
「ほかにも、方法はあるけどな、それが一番簡単や。そやからおまえが生まれたんやで」
「ヤッたの?」
「そうや」


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第二羽:


薬の副作用で、義母も頭の中でいろいろ考えて、無茶を言う。


昨日、義母ががいきなり聞いた。


「ねえ、今日の夕ご飯のニワトリ〆た?」
「いえ、まだですけど・・・」
「早く〆て頂戴」


昔、ニワトリを飼っていたころに帰っているらしい。


「おなかがすいてるわけじゃないのよ、でも、せっかく〆たんだったら食べたいわ」
「すみません、わたし、ニワトリの〆かた下手なんです」
「あら、じゃあいいわ。下手な人が〆ると美味しくないのよ」
「役立たずですみません」


ニワトリを〆ずにすんでほっとしました。